産業革命の匹敵
2020年に開業予定されていたIR統合型リゾートはコロナ渦の影響で一旦、足踏み状態で今後の動向に注目を集めています。この統合型リゾートの実態は名目通りのMICEを基板としてホテルやレストランやカジノを含むエンタメ施設の複合型施設そのものなのです。この複合施設の建設においてあらゆる企業が賛同して日本においてかつて経験したことない様な産業革命に匹敵すると言っても過言ではありません。このIRのビッグプロジェクトを日本でいかに成功させることが今後の大きな課題となるでしょう。日本政府が打ち出している法案の中で2030年の外国人旅行者を6000万人規模の訪日を観光資源の指針としています。従ってこのIRの巨大プロジェクトが大きな鍵を握って日本経済の発展を促す起爆剤となるか否かが今後の焦点となっていくでしょう。将来の日本は少子高齢化が進むに連れて日本経済の落ち込みや地方経済鈍化が進んでいくと言われています。そこで地域の街づくりや経済の活性化に繋がる起爆経済の衰退を余儀なくされない懸念が示されています。そんな中、日本初上陸の巨大IRプロジェクトが日本経済における守護神となるかが今後の大きな期待として寄せられています。勿論、現状ではカジノの是非が問われて賛否両論はあります。ギャンブル社会に拒否反応を示す国民に理解を示し日本独自路線で海外のIR対抗馬としてオリジナリティー溢れるIR事業を必ずや成功させてほしいものです。
世界のIR事情
IRとは具体的には2018年に公布された(IR整備法)において特定複合観光施設と称してホテルを初め、国際会議場及び展示場、カジの施設を含んだ魅力増進施設、送客施設全般を指します。IR先進国であるアメリカのラスベガスやシンガポールでカジノ施設が公に営業されているのは周知の通りですが治安悪化防止策やギャンブル依存に生じる対策やマネーロンダリングの徹底防止を強化して厳しい審査の基に運営ライセンスを付与しています。しかし、その他のカジノ以外の施設においては建設基準はさほど厳しいものではなく柔軟性に富んだ建造物がお目見えしています。IR産業はカジノだけに特化したものではなくアメリカのカジノ市場の教訓をもとに供給過多に陥ってしまう傾向を避けねばなりません。アメリカカジの施設は合計930ものカジノが稼働しており逼迫状態です。
代表的な民間商業施設であるコマーシャルカジノと言われている施設では17の州で合法化されています。又、ランドカジノと船上カジノもひしめき合いその一方ではアメリカ先住民所有のトライバルカジのも28の州で合計466もの施設が存在しています。利用者ターゲットを試算するとここアメリカでのカジノ施設において日帰り圏内約1~2時間移動範囲の人々に絞っているようです。アメリカではあくまでも州自治体の単体においてコントロールしている様です。これはアジア圏のカジノの香港のマカオやシンガポールとは対照的です。中央政府が適正にカジノ施設の総量をコントロール及びカジノ規制をしているのがアジア圏のカジノ実情のようです。従って、日本も同様にアジア圏のカジノを見習ってシビアに中央政府がカジノ施設のコントロールをすると予想されます。
カジノにおける収益データー
カジノ運営に携わる気になる収益はいかほどでしょうか?世界にあるカジノ事業者の収益をひもとくとピーク時と比較しても年々下降傾向と言われている様です。その収益データーはカジ対象エリアに居住する住民の金融資産量とカジノ施設数相対数で試算されます。一個のカジノ施設の収益を測定したい場合では金融資産量数値はカジノ市場規模を表しているのでそれを施設数で割る事で測定できます。そこで世界各国の収益の比較を数値化するとダントツでアメリカがトップをいきます。それは1180兆円という規模でカジノ施設930軒で割ると1件あたり約1兆円強の収益にもなります。
一方、アジア圏のシンガポールでは約50兆円をたたき出しマカオでは約11兆円の数値がでました。この結果を推移するとアメリカでのカジノ施設が多く個人資産量は多いものの過当競争の影響下のもとに市場規模が縮小されています。その一方、アジア圏に至ってはシンガポールの営業利益は2000億円と優良成績を上げてマカオも又、営業利益は6000億円も収益を上げて施設コントロール下で着々と営業利益を伸ばしています。今後、日本も又シンガポールや香港に追いつけ追い越せと躍起になる事は一目瞭然です。カジノ産業というビッグプロジェクトを成功すべくビジョンを見据えて今後の日本の動向が注目されます。
確固たる日本を意識して
MICEの定義づけでは国際会議場と展示場の基準を組み合わせて3個の類型を掲げる事が可能です。具体的に地域の特性を生かしてこれまでにない施設の建設が可能となります。例えば東京ビックサイトや東京フォーラム規模のMICE施設を建設する基準が大幅にスケールの大きいものが建設可能となります。従来のホテルなどの客室数や面積をも拡大して多岐多様な箱物が建設されると予想されます。勿論、大きさのアピールだけではなく質の向上も求められるでしょう。そこには日本独自路線で海外の対抗馬を打ち出さねばならないでしょう。例えば歌舞伎とアニメの競合とか演芸場と和食レストランとのコラボレーションとか、若者を意識するなど。インスタ映えする建造物をピックアップしてみたり各地域の素晴らしいスポットを取り上げてみたりと自治体と民間観光業者とでタッグを組んで観光産業を盛り上げていく必要が不可欠となります。海外のIR事業をみても民間企業が主体となりその方向性を示しています。その反面、日本では都道府県や自治体が主体となり民間企業がサポートしています。世界のIR事業者を模倣して民間事業者が自治体とタッグを組みより良いオペレーションをしてほしいものです。何故なら海外に精通している民間事業者は経験値が高いのでオペレーションの中枢部分を担っているからです。そのような海外のIR屈指のノウハウを取り入れて成功に繋げて欲しいものです。